- 食費の平均費用ってどのくらい?
- 物価の高騰が厳しくて家計管理が大変…
- 上手な食費の節約方法を教えてほしい
近年では物価高騰のあおりを受けて、食費負担は増加傾向にあります。少しでも家計の負担を減らそうと、食費の見直しを検討する人が増えています。節約には食費管理が欠かせませんが、栄養バランスも大切です。当記事では、国が公表している統計データをもとに、日本人の食費平均を明らかにします。
条件別の食費平均や節約のコツについても詳しく解説します。食費を効果的に管理する方法を学べば、毎月の出費の削減が可能です。この記事を読み、賢い食費の節約方法を身に付けましょう。
日本人の食費平均の現状
家計管理のためには、食費の平均額の把握が重要です。食費は食生活の質や食材選びに直結し、日本人のライフスタイルや経済状況を反映する重要な指標となっています。食費の平均を把握するために、以下の4つの項目を解説します。
- 日本全体の食費の平均
- 世帯別の食費の平均
- 年代別の食費の平均
- 食費に含まれるものと含まれないもの
日本全体の食費の平均
2023年時点での、日本における全世帯の食費平均は1ヶ月あたり67,078円(※1)。家庭支出の約27%です。食費の平均額は世帯人数や世帯主の年齢、年収、地域によって大きく異なります。1人当たりの支出は、都心部や単身世帯で高くなる傾向にあります。
世帯人数や地域が同じ家計の食費平均を把握して、自分の家庭の食費と比較しましょう。収入増に伴い支出も増える傾向にあるため、定期的な見直しが必要です。
※1 総務省統計局「2023年 家計調査報告(家計収支編)」より
世帯別の食費の平均
日本の世帯別の食費平均は以下のとおりです。
世帯人数 | 平均金額 |
---|---|
1人 | 42,049円 |
2人 | 72,399円 |
3人 | 85,557円 |
4人 | 90,712円 |
5人 | 101,806円 |
6人〜 | 110,532円 |
※ 総務省統計局「2023年 家計調査報告(家計収支編)」より
子育て世帯では、食費が高くなる傾向にあります。世帯人数だけでなく、家計や状況に応じて予算を設定しましょう。
年代別の食費の平均
食費の平均金額は、年代によって異なります。世帯主の年代別の食費平均は以下のとおりです。
年代 | 平均金額 | エンゲル係数(%) |
---|---|---|
20代 | 41,509円 | 22.9 |
30代 | 64,792円 | 26.8 |
40代 | 79,060円 | 26.7 |
50代 | 73,316円 | 24.7 |
60代 | 72,790円 | 27.3 |
70代 | 61,591円 | 29.7 |
※ 総務省統計局「2023年 家計調査報告(家計収支編)」より
20代から40代までは年代が上がるにつれて食費が増加し、50代以降は徐々に減少します。30代40代では育ち盛りの子どもをもつ世帯や、共働きで外食や加工食品の購入が増加する世帯が増えると考えられます。家計の消費支出に占める食費の割合は、エンゲル係数で把握可能です。
» 子どもの食事の悩みを解消!健康な食生活の実践法
エンゲル係数が高いと家計が食費に圧迫され、余裕が少ない状態と言えます。エンゲル係数が低ければ食費の割合が低いと考えられますが、他の支出が多すぎないか確認が必要です。年代ごとの食費を理解すると、計画的な家計管理やライフスタイルの見直しに役立ちます。
食費に含まれるものと含まれないもの
食費を管理する際は、食費に含まれる以下の範囲をしっかりと区別しましょう。
- 野菜や肉、魚などの生鮮食品
- 調味料
- 冷凍食品やインスタント食品、スナック類などの加工食品
- 水やアルコールなどの飲料
- 外食やデリバリー、テイクアウト
以下は食費に含まれません。
- ラップや洗剤などの消耗品
- ペットフード
- 家庭菜園やガーデニング用品
- 入場チケットなどの外出費
食費に含まれるものと含まれないものを、わかりやすく項目で振り分けましょう。明確に区別すると、無駄な出費も把握しやすくなります。
【地域別】食費平均の違い
食費の平均金額は、地域によって異なります。
地方と都市部での食費平均の違い
都市部と地方では食費平均の違いが顕著です。大都市は地方に比べて食費が高く、所得に占める食費の割合も大きくなります。平均額が最も高い関東と低い沖縄では5,000円以上の開きがあります。大都市の食費平均が高いのは、配送コストや保管コストが上乗せになり、食材の価格が高めに設定されるからです。
外食の頻度や調理済み食品、デリバリーの利用頻度の影響も考えられます。地方は地元産の農産物が直接購入しやすく、新鮮で手頃な価格の食材が手に入りやすい環境にあります。似た環境の世帯と比べて、食費をかけすぎていないか確認してください。自身の支出が適切か、しっかりと把握することが大事です。
海外と日本の食費平均の違い
諸外国の食費は、文化による特徴が色濃く反映されています。経済協力開発機構加盟国のうち、30カ国を対象とした調査結果は以下のとおりです。
エンゲル係数の高い国 | エンゲル係数の低い国 | |
---|---|---|
1位 | エストニア | アメリカ |
2位 | ギリシア | ドイツ |
3位 | ハンガリー | デンマーク |
4位 | ラトビア | オーストラリア |
5位 | メキシコ | イギリス |
6位 | チェコ | カナダ |
7位 | スロバキア | スウェーデン |
8位 | ポルトガル | オランダ |
9位 | スペイン | ルクセンブルク |
10位 | リトアニア | 日本 |
※ 経済協力開発機構(OECD)のデータをもとに作成
エンゲル係数の値で見ると日本は21位で、諸外国と比べて高い方ではありません。イタリア(11位)やフランス(17位)のように食文化にこだわりがあると言われる国は、日本よりもエンゲル係数が高いです。アメリカの食費が低い理由は、所得の多さやファーストフード中心の食生活によるものと考えられます。
農業生産性が高く、食材費が安い点も要因の一つです。日本人は食材へのこだわりが強く、新鮮で国産のものを好む傾向がありますが、エンゲル係数はそれほど高くありません。
食費を節約するコツ
食費を節約するには、日常の買い物や外食での工夫が大切です。効率的に食費を抑える方法として、以下のコツを解説します。
- まとめ買いで買い物頻度を減らす
- コスパ良く外食を楽しむ
- 1ヶ月の予算を決める
- セールやクーポンを活用する
まとめ買いで買い物頻度を減らす
まとめ買いで節約するには、食材消費量の把握が欠かせません。買い物に行く前に献立を考えましょう。スーパーのセールを参考にした献立の検討が効率的です。買った食材は小分けにして、下味をつけたり冷凍したりして使い切れるように工夫しましょう。
» 忙しい方必見!1週間の献立を立てる方法とメリットについて解説
多少の手間はかかりますが、買った食材をすぐに下処理すると使うときに便利で食材が無駄になりません。まとめて下ごしらえすれば効率的です。まとめ買いで買い物に行く労力と時間、交通費の削減も可能です。買うものを決めて行くため、無駄な出費も避けられます。
通常よりも安く買える大容量商品やセット商品を選択すれば、時間もお金も節約できます。
コスパ良く外食を楽しむ
平均以上に食費の負担が多い場合は、外食がネックになっているケースが多いです。外食は自炊と比べて費用がかかります。食費がかさむ原因になりがちな外食ですが、会話を楽しんだりリフレッシュしたりできる効果もあります。コスパよく外食を楽しむことが大切です。以下のような工夫で、外食をお得に楽しみましょう。
- ハッピーアワーを利用して割引価格で飲食する
- ランチタイムのセットメニューを選ぶ
- 食べ放題やビュッフェスタイルのレストランを利用する
- クーポンサイトやアプリから割引情報を得る
- コストパフォーマンスの高い定食屋やファミリーレストランを利用する
- グループ割引やシェアメニューを活用する
- オフピーク時間帯の食事で割引を受ける
- 地元の飲食店で手頃な価格でおいしい食事を楽しむ
食費を適切に管理しつつ外食を楽しむには、食事の質とコストのバランスが重要です。
1ヶ月の予算を決める
節約には予算管理が欠かせません。食費の予算を決める際は、1ヶ月分の費用の把握から始めましょう。自動的に記録できるアプリ利用で時短が可能ですが、手計算でも対応できます。レシートの明細に食品以外の商品がある場合は、省いて計算してください。食費の現状を把握して、適正かを判断します。
食費全体の予算は所得の15〜20%が目安です。世帯所得が50万円の場合、食費予算は7万5,000円〜10万円になります。現在の食費や平均額、家族構成を考慮して目標予算を設定しましょう。月の予算を決めたら、1日あたりの予算を算出します。
予算管理の単位を1週間とする方法もありますが、1日単位での金額の明確化をおすすめします。まとめ買いをするときは「まとめ買いする分の日数×日割り予算」で金額を決めてください。
予算に余裕があるときは、栄養バランスを考えて野菜や果物、良質なタンパク質を補います。予算が足りなくなったら、お菓子やお酒などの嗜好品から減らしてください。節約にこだわりすぎると、栄養バランスが崩れがちです。健康を損なえば医療費がかかるだけでなく、収入が減ったり時間や体力を失ったり悪循環になります。
» 1日350g以上が目標!野菜摂取量を増やす方法
食費を節約しても、健康的な食事は楽しめます。手頃で栄養価の高い食材を積極的に取り入れて、上手に節約しましょう。
» 栄養バランスの基本と栄養素の役割、整える方法を解説!
セールやクーポンを活用する
セールやポイント、クーポンを活用するとお得に買い物ができます。使用する店舗やカードを限定すると、ポイントがたまりやすいです。複数店舗のセール情報や限定価格の商品を、まとめてチェックできるサイトもあります。クーポンサイトやアプリを利用すれば、お得な割引を見逃しにくくなります。
ブラックフライデーや年末セールなど、大型セールでのまとめ買いでも節約可能です。
食費の平均が変動する要因
食費は外部要素やライフスタイルの変化によって大きく変動します。直接的な影響を及ぼし、家計管理を難しくさせる以下の要因について解説します。
- 景気や物価の変動
- 生活習慣の変化
景気や物価の変動
外部要因による食費への影響は無視できません。配送費や管理費の高騰など、あらゆるものが食費に反映されます。好景気では収入が増えやすく、より多くのお金を食費に充てられます。景気が悪くなると節約重視となり、低価格の商品や割引された商品を選択しがちです。
2022年の日本における食料自給率は38%です(※2)。海外からの輸入に頼っている以上、為替による影響も少なくありません。経済状況が厳しいときは、政府が価格調整に介入する場合もあります。安定供給をめざす政策も実施されていますが、価格を決めるのは市場です。
政府の働きかけに依存しすぎない、自衛手段の確立が大切です。
※2 農林水産省「2022年の日本における食料自給率」より
生活習慣の変化
生活習慣によって、食費は大きく変化します。毎日の食事をできるだけ質の良いものにしようと、無農薬や国産食材にこだわると食費が高くなりがちです。手頃な値段で手に入る季節の野菜や果物、旬の魚はおいしいだけでなく栄養豊富でおすすめです。シンプルな調理を心がけると、調味料も光熱費も節約できます。
買い物のたびに嗜好品を手に取ると危険です。一度にかかる金額は大きくなくても、積み重なると予想以上の支出になります。食事には楽しみも必要なので禁止する必要はありませんが、健康のために、栄養価の低い嗜好品はなるべく減らしましょう。
独身世帯の増加や核家族化により、少量パッケージや個人向け食品の需要が増えています。少量販売は便利ですが、コストが高くなりがちです。大量に購入しても余らせては本末転倒なので、買い物に行く頻度と消費量を考慮して購入しましょう。働く女性の増加も、変化の一つです。
家事に使える時間が少なくなると、自炊率が下がります。健康管理と節約のためには自炊が大事です。惣菜やデリバリー、冷凍食品などの利用機会が増えると食費負担が大きくなります。休日にまとめて作り置きをしたり、下味をつけて冷凍したりすれば、自炊の手間を減らせます。
食費を管理するためのツールと方法
便利なツールを活用して、食費を正確かつ効率的に管理しましょう。節約のために好きなものを我慢しすぎたり、栄養が偏ったりするとストレスになり悪循環です。間食や好きなものを楽しみつつも、バランスの良い食事を心がけましょう。すぐに始められて長続きできる、以下の食費管理方法を紹介します。
- 家計簿アプリを活用する
- 固定費を見直して食費の目標額を定める
- ライフスタイルを見直す
家計簿アプリを活用する
家計簿アプリを使用すると、食費管理にかかる時間を短縮できます。キャッシュレス決済やカード利用記録が連携できるアプリがおすすめです。銀行口座を連携させると、ほぼ自動で家計簿を作成できます。アプリでの家計簿作成をスムーズに進めるには、キャッシュレス決済の活用や銀行口座の整理が重要です。
無料の家計簿アプリもありますが、連携できる口座数に限りがあるなどの欠点もあります。使いやすさや機能を調べて適切なアプリを選択しましょう。優れた家計簿アプリには、自動で収入や支出を記録してくれる機能が搭載されています。領収証やレシートの転記の必要がなく、時間と手間を省けて便利です。
家計簿アプリには、支出をカテゴリー別に分析する機能もあります。 月ごとの支出をグラフやチャートで視覚的に確認できるため、食費管理にも効果的です。客観的に数値を把握すると、家計管理の精度が上がります。短期的な視野だけでなく、長期的で安定的な家計管理が可能です。
固定費を見直して食費の目標額を定める
家計管理においては、固定費の見直しが不可欠です。住居費や通信費、保険料など、毎月の固定費が本当に必要か見直します。習い事やネット関連のサブスクも含めて確認しましょう。無駄な出費を削減すれば、浮いたお金を食費や貯蓄に回せます。生活水準に見合った食費目標を設定して、無理のないように管理してください。
固定費は定期的な見直しが大切です。固定費の見直しで継続的な節約効果を評価し、必要に応じて予算も調整しましょう。
ライフスタイルを見直す
家計改善のためには、ライフスタイルそのものの見直しも必要です。早寝早起きによる良質な睡眠の確保で、健康的な生活リズムを守れます。毎日の習慣の改善は、金銭面だけでなく健康維持にも効果的です。不要な外食を減らして自炊の頻度を増やせば、家計にもプラスになります。
定期的な運動は体力維持とストレス解消に効果的です。ストレスコントロールには、食欲を安定させる作用もあります。自宅でのリラクゼーションや趣味の時間の確保も検討してください。心身の健康は他には変えられない財産です。
まとめ
食費の平均額は地域や世帯、年代によって異なります。平均的な食費の把握は、家計管理に役立ちます。本記事では食費平均の現状を詳しく解説しました。食費を節約するにはまとめ買いや外食の工夫、家計簿の利用、セールやクーポンの活用が効果的です。景気の変動や生活習慣の変化は食費にも影響を与えます。
食費を見直しながら、賢く管理するための具体的な方法を実践すると、より健全な家計を実現できます。